長野県佐久市 野田 敬さん
(取材時:2019年8月)
抑制効果と残効性を活かすため初期段階でコナガを抑えていく。
信州の東の玄関口と呼ばれる長野県佐久市。北は今も噴煙をたなびかせる浅間山、南は諏訪富士という愛称で親しまれる蓼科山が望める自然豊かな高原の町です。ここでは冷涼な気候を活かした高原野菜の生産が盛んで、なかでも冬野菜のイメージが強いはくさいは夏でも柔らかく高品質。6~10月が出荷の最盛期となっています。
産地ブランドが確立されているこの地に16年前、神奈川県横浜市から移住してきた野田敬さん。さまざまな経験を積み、最終的に選んだのは生産者への道でした。
「車とアメリカに興味があり、若い頃は古着販売でアメリカに買い付けに行っていました。しかし、いざ憧れのアメリカに行ってみると逆に日本の良さに気づき、次第に人が生きるために必要な農業への興味が湧いてきました。特につてがあったわけではないのですが、30歳で長野県の農業法人への就職を決意。そこで出会った方々の助けやいろいろなご縁もあって現在はJA佐久浅間しらかば野菜部会にて、はくさいをメインに高原野菜を生産しています」。
IGR剤としての特性を理解し持続的な効果を期待
持ち前の柔軟性を活かして農業の新しい可能性にも果敢に挑戦する野田さん。トラクターの自動操舵システムの導入や約9haある圃場の作業管理をスマホのアプリで行うなど農作業の効率化と品質向上のために日々、試行錯誤しています。防除についてお聞きすると、薬剤への意識が変わるきっかけとなった害虫被害があったそうです。
「2年ほど前、メインで使っていた薬剤がほぼ効かなくなり、コナガが爆発的に増えたことがありました。そこら辺のはくさいがみんな穴だらけ。そんなときにカスケードを紹介されました。昔からある剤だし、最初はいいイメージを持っていなかったのですが、圃場での試験結果を見て効果を実感。初期段階の防除としてローテーションに入れました」。
野田さんはカスケード乳剤のIGR剤としての特性を十分、理解され、卵からのふ化抑制効果や若齢幼虫への高い効果を期待して使用しています。
「IGR剤は効果の判定が難しい剤ですが、単剤では効果が発揮されない剤でも、カスケードの混用により1+1が2以上になり、効果がはっきり体感できると思います」。
生産者として育ててくれた地域のために、日本の農業の未来のために達成したい目標を最後に教えてくれました。
「新しく農業を始めたくなる情報をたくさん発信して、新規農業者を100人、増やしたいです」。
JA佐久浅間 しらかば東部営農センター 山本 美智夫さん
混用により相乗効果が生まれ生産者に薦めやすいです。
「最近は害虫や病害によって、作物に見たことがない症状がでると相談されることも多くなりました」と語る、山本美智夫さん。担当するエリアは長野県佐久市の西端にある望月・浅科地区。中山道69次、25番目の宿場町「望月宿」として発展した歴史を持ち、主力のはくさいをはじめ、キャベツ、レタスなど10品目以上の高原野菜を栽培するエリアです。
「害虫や病害の発生状況に合わせて、薬剤選定のアドバイスもします。例えば、コナガの防除をしたいけど、ヨトウムシもからめて防除したいと相談されたときはカスケードを紹介します。カスケードは混用によって相乗効果が生まれて、両方の害虫に効く。乳剤系だと薬害も気にしますが試験した結果、薬害はでなかった。コスト面でも生産者に薦めやすい剤だと思います」。