神奈川県三浦市 澤村 友和さん
(取材時:2019年8月)
10年ぶりにカスケードを使用。
混用すると効果は絶大です。
神奈川県の東南部に位置する三浦半島はだいこん、キャベツ、すいかの一大産地です。その最南端にある三浦市は三方を海に囲まれ、大自然を活かした露地栽培が盛んで昭和41年には春キャベツの国の指定産地となっています。そんな三浦市で代々、受け継がれてきた農業を営む、澤村友和さんは3年前、春キャベツの出荷形態を変える提案を、管轄する三浦市農協にしたそうです。
「18人の生産者が1つのグループになって、決められた市場に出荷する形態を提案しました。もともと、だいこんでは18年前からグループ出荷を行っており、いくつかのグループが存在しています。自分は“太陽大根グループ”に所属していますが、市場からの評価も高く、春キャベツもグループ出荷にならないのかと、よく聞かれていました。もちろん共販出荷にもメリットがありますが、グループ出荷は品質を生産者側で選別するため、今まで以上に品質を意識するようになり、自然と品質向上に繋がっていくと確信していました」。
春キャベツのアザミウマ対策で使ったことがきっかけ
品質向上の面でも重要な役割を担う防除。春キャベツで問題になっている害虫はコナガ、アザミウマ類、アブラムシ。澤村さんは5月に発生しやすいアザミウマ類の防除を目的に、2018年4月上旬にカスケードを使い始めました。
「実はカスケードを初めて使ったのは10年以上前で、だいこんに使っていました。それからしばらく使っていなかったのですが、ここ数年、アザミウマによるすいかの被害がひどく、薬剤がどれも効かず困っていたところ、千葉県でカスケードを使用している話を聞きました。使ってみたら効果があったので、同じようにアザミウマで困っていた春キャベツにも使ったのがきっかけです」。
適用作物の幅広さという面でもメリットを感じたという澤村さん。「カスケードは防除してすぐ効く感じではないけど、思っていたよりも害虫が増えず、最終的にすごくいい。それに他の剤と混用すると効果は絶大。害虫の抵抗力を弱めるという話を聞くと、なるほどなぁて思いますね」
タブレット支給により地域全体で情報共有
三浦市農協では生産者1軒に1台のタブレットが支給され、その日の市況をはじめ、防除情報などがいつでもどこでも確認できます。「昔と同じやり方では時代に合わなくなっている。昔ながらのいいところを残しながらも、少しずつ新しいものを取り入れ、出荷する箱に記された“三浦市農協”の名に誇りを持ち、三浦市を引っ張っていく力になりたいです」。
三浦市農協 北部営農センター高安 隆ノ介さん
防除効果を実感してもらうために情報面でのフォローが大切。
一年を通じて温暖な気候の三浦市では夏はすいか、冬はだいこん、キャベツを輪作で生産。例えば150aの圃場で3回転できるのが三浦市の強みで、狭い圃場でも収量が確保されるそうです。作物が育ちやすいぶん、害虫の発生も多く、生産者を悩ませていますが、そんなとき親身になって相談に乗ってくれるのが、入社6年目にして多くの生産者からの信頼を得ている高安隆ノ介さんです。「管轄するエリア内で、コナガ・アザミウマ類対策としてカスケードを防除のローテーションに入れている生産者は多いです。登録作物が幅広いという面でも薦めやすいですね。カスケードは効果がわかりにくいという声もあるので、そういったときはカスケードの効き方をしっかり説明するなど情報面でフォローして、生産者と一緒に三浦市の農業を盛り上げていきたいです」。