青森県弘前市 三上 勉(みかみ つとむ)さん
(取材時:2019年6月)
デランとカスケード、どちらも使い続けたい薬剤です。
ご家族3世代で3.4haのりんご園を経営している三上勉さん。この道一筋40年の大ベテランです。「全工程において気を抜かないこと」をモットーに、より高品質のりんごを生産するため日々研鑽を積んでいます。
JAの防除暦を参考に、マイカレンダーを作成して病害虫防除に取り組んでいるという三上さん。「技術があってもそれだけじゃだめ。薬剤がしっかり効いてくれないとね」。ここ数年気候が大きく変化して、その年によって気をつけなければならない病気も様々。昨年は黒星病が発生したということで、薬剤の効果に期待するのは当然のことです。効果の安定性や薬害の発生がないかを検証するために行われる「現地実証試験」を受託、殺菌剤デランを試していただきました。黒星病への効果を尋ねたところ、「試験的に、落花直後から3回の散布をしました。しっかり防げていますよ。これは今後も使っていきたい薬剤ですね」と、この上ない評価をいただきました。また、殺虫剤カスケードについても「使い出して、もう4年くらいになるかな。使い勝手もイイよね」と、こちらはすでに良き相棒として力を発揮しているようです。「青森県のりんご作りは、みんなで教え合い学びながらやってきた140年の歴史がある。一人の頭脳じゃ限界があるけど、みんなが集まれば強いよね」と話す三上さん。薬剤についても、よく情報交換をされるそう。「良いものは良い、隠し事をしないのが青森県ですから」。そんな思いのもと発展してきた青森県のりんご産業。貪欲に、でも謙虚に。そんな姿が印象的でした。
ふじ、トキなど7品種
「りんごの成長を見るのが何よりも幸せ」
という、根っからのりんご好きの三上さん
青森県藤崎町 太田 直人(おおた なおと)さん
(取材時:2019年6月)
効果、使い勝手共に満足。デランとカスケードで「元祖ふじ」を生産。
数あるりんご品種の中でも人気が高く、世界で一番多く生産されているといわれる「ふじ」。ふじ発祥の地である藤崎町で代々続くりんご農家に生まれた太田直人さんは、22年前、27歳の時に就農しました。県りんご協会の基幹青年研修で基本知識を学び、病害虫の発生予察から防除に至るまでの基本知識や応用技術を身に付け病害虫マスターに。さらに、県の剪定士や経営農業士にも認定されている、熱意ある生産者の一人です。太田さんの園地は2.2haの約8割がわい化樹。ふじを主体に、シナノゴールドやつがるといった6種類のりんごを、ご家族4人で生産しています。
3年前に試験を委託されたのがきっかけでデランに出会った太田さん。「重点的に防除したいのは近年ネックになっている黒星病。あとはモニリア病と斑点落葉病も気になるところ」ということで、今年も5月中旬に散布したといいます。「効果はわかっているので、今年も安心して使いました」と、すっかり信頼を寄せているご様子。「今年から333㎖のボトルになったことで計量する必要がなくなり、調製も楽になりました」と手間が省けるところもプラス要素だとか。また、ハマキムシ対策で使っているというカスケードについても「毎年、開花直前と直後の2回、散布しています。今年もハマキムシは見てないね。カスケードもボトルが小さくて、持ち運びが便利なんですよ」と教えてくれました。
日々の作業に栽培技術向上のための勉強や情報収集、後進の育成など、りんご漬けの毎日。「やれることは何でもやるようにしています」。そんなひたむきな想いで、美味しいりんごを育てています。
青森県黒石市 工藤 大輔(くどう だいすけ)さん
(取材時:2019年6月)
36人が在籍するJA津軽みらい黒石地区青年部。
「お酒を飲んだら必ずりんごの話になりますね」という工藤部長。
JA津軽みらい黒石地区青年部の皆さんに、病害虫防除に対するお考えやりんごづくりに懸ける想いを伺いました。
写真左から 黒石市 JA津軽みらい黒石地区青年部
木村 翼さん 村上 弘和さん 工藤 大輔さん 佐藤 武寿さん 村岡 嘉樹さん 佐々木 直哉さん
りんご作りはこんなに楽しいということを若い世代に伝えていきたい。
「仲間が増えました」青年部で活動するメリットを口にしたのは村上さん。仲間が増えると情報も増える。それが「栽培に役立っている」と言います。「有益な情報は大事」と声を揃える皆さんに、病虫害防除についてのお考えを伺ったところ、「防除は10 日に一回の行事ではなく、その時々の対応が求められる」と村岡さん。「全てが防除暦通りにはいかないこともあるからこそ、薬剤に求めることは効果以外にない」と言い切ります。今年はしっかりと防除できているようです。「値段も大事かな」と笑う木村さん。費用対効果の面からみたデランを「悪くないよね」と評価するのは最年長の佐藤さん。「ちょっとボトルに残るけどね」と、課題も指摘していただきました。
高品質のりんごを作る秘訣を「毎日りんごに話しかけること」という工藤部長。まるで我が子に愛情を注いでいるかのよう。「美味しかったよって言いながら、また買いに来てくれることが一番嬉しいよな」という村岡さんの言葉に皆さんがうなずきます。
地元の基幹産業であるりんご生産に興味を持ち4年前に新規参入した佐々木さんは、「限られたマンパワーで多くの作業をこなすためには、いかに効率的に作業をするか」を常に考えているとか。同じ考えだという木村さんは、「それで完全週休2日制にできればいいよね」とも。「農家は忙しいというイメージがある。我々の世代でそのイメージを払拭して、りんご作りはこんなに楽しいということを若い世代に伝えていきたいですね」と、最後は力強い部長の言葉で締めくくっていただきました。